イラン情勢悪化に伴う原油不足は、人命に直結する医療現場にも影響を及ぼしかねない事態となっている。
点滴バックや輸液用のチューブ、シリンジ(注射筒)、カテーテル、手袋――。医療機関で使われるこうしたいくつもの医療機器は、原油を精製して作られるナフサ由来の合成樹脂(プラスチック)を原材料とする。その一部で、メーカーによる原材料の調達継続に懸念が生じている。
状況がとくに深刻なのは、アジアを中心とした海外工場で作られ、日本に輸入されている製品だ。人工透析に使われる透析回路、手術用の廃液容器、手袋などは、日本以上のエネルギー危機に見舞われる東南アジアへの生産依存度が高いとされる。
メーカー各社は現地での原材料調達に奔走しているが、医療に使える品質で原材料を供給できるサプライヤーは限られており、代替調達のハードルは高い。しかも部品や原材料を変更した際には、安全性や品質の試験、薬機法上の申請が必要で、承認までに一定の期間がかかる。
政府対策本部に543件の相談
「流通段階の目詰まりを1つ1つ丁寧に解消していくことで、医療・福祉などの安定供給を実現できると考えている」
4月9日に開催された「中東情勢の影響を受ける医薬品、医療機器、医療物資等の確保対策本部」の第2回会合の冒頭で、上野賢一郎厚労相はそう力を込めた。
3月末に厚生労働省と経済産業省が対策本部を設置して以降、4月2日には製造販売事業者向け、7日からは医療機関向けの相談窓口を設けて情報収集を進めてきた。今回の会合では、これらの窓口を通じた相談が543件寄せられたことが報告された。そのうち、「安定供給に影響がある」と判断されたものは16件あった。
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【34万人の命綱】
