先端を走る日本企業が「中国投資」を続ける理由/過度な依存を避けつつ、"ハイテク中国"を使い倒し世界市場で勝つ

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医療機器市場でも同様の動きが広がる。富士フイルムは23年から江蘇省蘇州で内視鏡の現地生産を始めた。消化器内視鏡市場で圧倒的に強かったオリンパスは25年、55億円を投じて蘇州に新工場を建て、11月から現地生産を始めている。この4月には、アメリカ出身で、中国市場に精通したローザ・チェン氏を中国事業統括のトップに抜擢。現地のニーズを迅速に取りにいく。

ここに、中国市場から撤退しない、もう1つの理由がある。パナソニック総研の町田穂高主席研究員は「AIやロボットなど未来産業への投資を強める中国は実証実験へのハードルが低く、社会実装のスピードが非常に速い。一部の日本企業は中国を『社会実装の実験場』として活用している。中国市場で得た知見をグローバル展開に生かすことが必要だ」と語る。

合成獣「キメラ」のごとく

キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹は「日本にある製品を持っていくだけでは、もう中国市場では勝てない」と話す。

「中国市場は、世界のトップメーカーが開発競争を繰り広げている。中国市場で勝てない企業は、世界市場でも勝てない」

とはいえ、日本の外交安全保障は日米同盟に立脚しており、中国市場の活用は、表立って進めにくい。どうすればよいか。先の町田氏は、ギリシャ神話に登場する、複数の顔(意志)を持つ合成獣「キメラ」を挙げる。

「米中どちらか一方を選ぶのではなく、それぞれの市場に合わせて『顔』を使い分けるキメラのような生き方がある。ブランド力や信頼性を保ちながら、社会実装の場である中国市場を使い倒す。日本企業にはそのような柔軟かつ、したたかな戦略が求められている」

大胆に使い分けをするキメラのような日本企業の生き方を、政治は邪魔しないことだ。ハイテク化する中国の最前線を直視し、勝ち筋を見極めることさえできれば、日本企業は世界市場で十分に勝てる。 

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熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。東洋経済編集部。

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