首相が列挙した国のリストとは別に、3月19日の日米首脳会談ではアラスカが話題になった。トランプ大統領が「日本はアラスカから原油を購入する」と言及し、茂木敏充外相は後日、産出量倍増に日本が投資する方針を伝えたと明かしている。

アラスカの場合、積み出し港である南部のバルディーズ港から日本まで太平洋直行で10〜12日と近い。だがバルディーズ港はVLCC(大型タンカー、積載量約200万バレル)が入れず、スエズマックス級(約100万バレル)が上限。距離は中東の半分でも船が半分なら、輸送コストは大差ないか、むしろ割高になる。生産量は42万〜48万バレル/日でほとんどがアメリカ西海岸向けだ。日本に回せる余剰は1万〜2万バレル/日程度にとどまるだろう。
大型開発のアラスカ北部ウィロー・プロジェクトの初出荷は2029年であり、今の危機を緩和するのには間に合わない。性状はAPI比重32度で製油所設計におおむね適合するが、金属含有量(バナジウム28ppm、ニッケル12ppm)がアラビアンライトの約2倍と多いのが難点だ。
高市首相はカザフスタンを念頭か
高市首相が言及した「中央アジア」とは、主にカザフスタンを念頭に置いていると考えられる。日本の資源開発大手のINPEXは同国のカシャガン油田に7.56%の権益を持ち、CPC Blend(カスピ海パイプラインコンソーシアム・ブレンド)はAPI比重46度の超軽質低硫黄で、性状面では好適な原油である。
しかし、この油はそもそもアジア向きではない。
カザフの輸出の8割はCPCパイプライン経由で黒海沿岸のロシア・ノヴォロシースク港へ運ばれるが、そこから先のボスポラス海峡はVLCCが物理的に通航できない。積載量が約3分の1のアフラマックス級が上限で、バレルあたりの輸送コストは割高でアジアなどへの長距離の輸送に向いていない。仮にアジアまで運ぶとしても、ボスポラス海峡、スエズ運河、そしてフーシ派に狙われている紅海のバブ・エル・マンデブ海峡と、チョークポイントを3つも通ることになる。




















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