原油約3割、液化天然ガス(LNG)約2割、窒素肥料約45%──。中東のホルムズ海峡を経由して世界に運ばれているエネルギーや重要物資の世界貿易に占める割合だ。
ホルムズ海峡は、スエズ運河やマラッカ海峡などと並んで、世界の海上物流の「チョークポイント」(急所)と見なされてきた。
しかし、現実に海峡が封鎖される事態について、エネルギーの専門家の間では、その可能性は低いとみられてきた。「もしも封鎖された場合、世界経済に与える影響が極めて大きいうえ、原油の輸出に頼るイランにとっても自分の首を絞めることになりかねないためだ」(日本エネルギー経済研究所の柳沢崇文研究主幹)。

アメリカが「逆封鎖」を強行
そのホルムズ海峡の封鎖は現実のものとなった。
2月28日、アメリカ、イスラエルの先制攻撃により戦端が開かれてしまったからだ。イランは最高指導者が殺害され、イスラム体制の存亡の危機に直面すると、ホルムズ海峡の封鎖という前代未聞の挙に出た。当初、イランは自国の船およびごく一部の友好国の船に限って通航を引き続き認めたが、和平協議の決裂を機に4月13日、今度はアメリカがイランの船の通航を阻止するという「逆封鎖」を強行。ホルムズ海峡はついに完全封鎖された。
海峡の封鎖により、エネルギーや肥料などの価格は急騰し、世界経済は混乱に陥っている。海峡封鎖による影響の深刻度について、国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は4月6日付の仏紙フィガロのインタビューで、「1973年、79年(の2度の石油危機)、2022年(のウクライナ危機)を合わせたものよりも深刻だ」と語っている。
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【封鎖はアジア経済を直撃】
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