それにもかかわらず、リスク資産の市場価格が動くのは、投資家、投機家の動きが変化するからであり、彼らは、ほかの「彼ら」つまり、ほかの投資家・投機家がどう動くかによって動く。つまり、金融政策の変更は、その合図であり、「買えー」とか「売れー」とかいう掛け声と同じなのだ。
リスク資産価格の変動は、持続的に同じ方向に動くのであれば、資産効果という形で、実体経済にも影響を与えるが、金融政策の見通しに一喜一憂して、乱高下する限りにおいては、何の意味もない。
理論的には、乱高下はリスクが高まるから価格は下落するはずだが、実際はそうではない。リスクテイクムードのとき、要は、ポジティブなバブル膨張期には、それはトレードのチャンスと受け止められ、乱高下で儲けようとするトレーダーが殺到し、市場はさらに盛り上がる。それが悲観的に変わると、一気に暴落するのだが、その決定的な悲観がまだ現状では来ていない段階だ。
FOMC後のパウエル会見が驚くほど和やかだったワケ
しかし、イラン戦争を起こしてしまえば、世の中がいい方向に戻ることはない。だから、今後は、乱高下をしながら、決定的な悲観的ニュースが出た瞬間に一気に悲観に傾く、それの手前の段階だろう。嵐の前の静けさならぬ、なぜか静かな乱高下であり、崩壊はすぐそこだ。
今回の主眼は、このような崩壊の前の凪のタイミングでの、金融政策決定会合の雰囲気が、日米であまりに違う、ということ、それはなぜか、そして、それがどういう意味を持つのか、ということを議論したい。
アメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)後の、ジェローム・パウエルFRB議長の記者会見は、驚くべき和やかさだった。スタグフレーション(景気停滞とインフレの同時並行状態)が目の前に迫り、利下げも利上げもままならない、苦しい状況であるにもかかわらず、だ。
これは1つには、ドナルド・トランプ大統領のおかげだろう。トランプ大統領がパウエル議長に理不尽な圧力をかけた結果、「良識ある人々」は、結束したのだ。これが、より一層、アメリカのよいところを引き出した。
それは、このような中央銀行トップの公式の記者会見でありながら、その質疑応答は、質疑応答というよりも、「議論」なのである。素朴に「これからどうしたらいいんだ?」ということを、みんなで問題点を指摘しあいながら探っていくような「場」になっているのである。





















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