EUが原子力発電への回帰にかじを切った本当の理由、EUの現実直視を日本はどう受け止めるのか
欧州連合(EU)の欧州委員会のフォンデアライエン委員長は2026年3月10日、「信頼性が高く、安価な温暖化ガス低排出量の電源(原子力発電)に背を向けたのは、欧州にとって戦略的な誤りだった」との考えを示した。
これにより革新的な原子力技術への新たな財政支援や、2030年代初頭までに欧州で稼働させることを目指す次世代型原子炉(SMR・第4世代原子炉など)に関する欧州連合の戦略を明らかにした。
欧州の原発戦略
この発言は、東日本大震災により東京電力の福島第一原子力発電所の事故で加速した欧州の原発稼働率を減らす脱原発の流れを「戦略的間違い」と認め、原発回帰に舵を切った形だ。事故が発生し廃炉作業に苦労する日本で、原発回帰を警戒する世論に配慮し、日本政府が「原子力の最大限活用」という言葉を使っているのとは違い、原発の推進に大きく踏み出した発言だった。
無論、加盟27カ国には脱原発を完了したドイツや、そもそも原発を禁止するオーストリア、段階的廃止途上にあるベルギーを抱えるEUで、原発回帰はすべての加盟国の支持を得られているわけではない。デンマーク、ポルトガルなど11カ国は原発を保有しておらず、逆に7割以上の電力を原発に依存するフランスをはじめ、新設を急ぐポーランドなど原発保有国は12カ国にすぎない。
脱原発を完了したドイツの例では、1970年代から反原発運動を主導した左派環境政党の緑の党が長年積み重ねてきた運動に、福島第一原発事故が決定的に影響を与え、当時のメルケル政権が23年4月15日にすべての原子炉を停止させた。そのメルケル氏の秘蔵っ子であるフォンデアライエン元ドイツ国防相が原発回帰に舵を切った意味はどこにあるのか。





















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