EUが原子力発電への回帰にかじを切った本当の理由、EUの現実直視を日本はどう受け止めるのか

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フランスのマクロン大統領は22年2月、新たな原子力発電所を最大で14基建設する「原発ルネッサンス」計画を明らかにし、うち8基の増設は検討の段階にあるとした。当時は欧州全体が脱原発に動いていた時期だけに、衝撃が走った。「脱原発・縮原発」路線から、エネルギー安全保障と環境対策重視の原発推進へと大きく方針を転換するものだったからだ。

エネルギー政策で主動権を握りたいフランス

7割の電力を原発に依存するフランスの認識は、2050年までの温室効果ガス実質ゼロ(カーボンニュートラル)の達成、エネルギー自立や電気代高騰への対応が迫られていた。背景にはロシア産化石燃料が途絶えたウクライナ危機があった。

マクロン氏は3月10日の原子力サミットで「この15年間で世界は変わったが、事故の痛みを消すことはできない」と福島の教訓は消えないとしたうえで「原子力は競争力、脱炭素、エネルギー主権という目標の同時達成を可能にする」と強調した。まさに今回のEU方向転換をフランスが主導したことを印象付けた。

おりしも今月2日にEUの安全保障政略の欧州防衛の柱として「これから半世紀は核兵器の時代になる」として核弾頭を増やす方針転換を表明したのに続く内容だった。

7年前、原発への依存度を減らす政策の一環として12基の閉鎖を約束したマクロン氏は、22年の増設計画で方針を転換していた。フランスでは老朽化などで原子炉の5分の1以上の稼働が止まる危機に遭遇しており、エネルギー源確保のため石炭火力に頼らざるをえない苦境に直面してもいた。

フランスはつねに主権国家の独立性と欧州の大国として主導権を握ることにこだわってきた。核兵器増強も原発推進も国是に適っている。

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