独ソ戦を超える5年目に突入したウクライナ戦争の今/領土拡大で「皇帝の地位」を欲するプーチンの大誤算、トランプと欧州の疑心暗鬼も深刻化

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ロシア軍によるエネルギーインフラへの空爆の激しさと極寒が相まって、キーウをはじめとする都市の民間人にとって過酷な季節となっている(写真:Bloomberg)

ロシアによるウクライナ侵攻が2026年2月24日、5年目に入った。プーチン大統領が当初3日間で完了するとみて仕掛けた戦争は、独ソ戦(1941年から45年)より長くなってしまった。しかし、終結に向けた道筋は現在も見えていない。

1月から始まった初のアメリカ・ロシア・ウクライナ3カ国による和平交渉も難航している。一方で、この戦争を引き起こしたロシアと欧州間の歴史的亀裂は大きな地殻変動のようにさらに拡大している。こうした現状についてさまざまな角度から深掘りしてみたい。

トランプ政権による仲介で始まった3カ国協議はなぜ不調なのか。

直接的要因は、ウクライナ東部ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)のロシアへの割譲問題だ。ドンバスの多くは現在ロシア軍が占領しているが、ロシア側はドネツク州のうち、自軍が制圧できていない約20%に相当する地域からウクライナ軍が撤退するよう迫っている。これに対し、ゼレンスキー政権は断固割譲を受け入れない姿勢だ。

しかし、終結への道筋が見えてこない最大の要因は、別なところにある。「反米志向秘めるプーチンは決して戦争を止めない」(25年12月5日公開)で筆者が指摘したように、プーチンが侵攻継続により、ドンバス地方割譲以上の、領土獲得を目指しているからである。

そのさらなる目標とは何か。第1には、ロシアが侵攻後に併合を一方的に宣言した東部南部4州(ルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン)と14年に併合したクリミア半島について、ウクライナにロシア領として正式承認させることだ。

さらに、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念して、ロシアと軍事的に敵対する国にならないことを求めている。

プーチンとしては、ウクライナを事実上、ロシアの勢力圏に入れるという成果をあげて、自らの治世における最大の功績にしたいのである。

領土拡張の「ツァーリ」になりたいプーチン

もともとプーチンは、18世紀に黒海北部沿岸やクリミア半島を併合したエカチェリーナ2世はじめ、歴代のロシア帝国皇帝(ツァーリ)の領土拡大にたびたび言及しては、それを称える歴史談義が大好きだ。

自らも同様にロシアの版図や勢力圏を拡大して、現代の英雄的ツァーリとして名を遺すことを狙っているのは間違いない。その意味でも、先述した東部ドンバス地方の割譲だけでは不十分なのだ。

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