独ソ戦を超える5年目に突入したウクライナ戦争の今/領土拡大で「皇帝の地位」を欲するプーチンの大誤算、トランプと欧州の疑心暗鬼も深刻化

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実はそのプーチンが最近、歴史談義をするケースが目立って減っている。恐らく、自らの領土拡大の業績について、現状では現代版ツァーリとしては不十分と認識しているからだろう。

いずれにしても、4年が経過した現在の戦局は、双方とも決め手がない膠着状態に陥っている。アメリカのシンクタンクの推計では、これまでのロシア軍の戦死傷者数は約120万人。このうち死者は30万人前後と推定されている。

一方のウクライナについては、戦死傷者が50万人から60万人で、うち死者は10万人から14万人と見積もられている。

「ロシアが勝っているはウソ」が広がる

戦局をめぐっては、国力がはるかに大きいロシアが最終的に勝つだろうとの見方が、長い間、西側専門家の間でも多かった。しかし、ここへ来て、大きな変化が生じている。「ロシアは今、勝っていない」、あるいは「ロシアが勝つことは不可能」との見方が広がっているのだ。

その象徴が、詳細な戦況分析で有名なアメリカの戦争研究所の評価だ。25年10月24日付の戦況日報の中でこう強調した。「プーチンはロシアの勝利は不可避だと主張し、東部の完全掌握をもたらさない和平を拒否しているが、これを信じてはならない。ロシアはこの戦争で勝っていない」

これに関連して筆者が指摘したいのが、プーチン政権による認知戦(Cognitive Warfare)の展開だ。認知戦とは、SNSなどを駆使して、相手国のトップや世論の認識を自分たちに有利なように誘導することを言う。言わば、ロシアや中国が行っている印象操作のための偽情報作戦だ。

ロシアは昨秋以降、ウクライナ東部を中心に攻勢を掛けているが、現在まで大きな戦略的戦果をあげていない。にもかかわらず、プーチンは25年12月の恒例の大記者会見で「ロシアが戦略的主導権を握っている」との発言を連発した。

クレムリンとしては、ロシア軍が有利に戦争を進めているという印象をトランプ大統領に強く与えることで、ロシアに有利な和平仲介に誘導しようという戦略だ。

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