独ソ戦を超える5年目に突入したウクライナ戦争の今/領土拡大で「皇帝の地位」を欲するプーチンの大誤算、トランプと欧州の疑心暗鬼も深刻化

✎ 1〜 ✎ 203 ✎ 204 ✎ 205 ✎ 206
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

原油価格下落などによる財政難にあえぎ始めたロシア経済だが、非軍事部門の歳出削減などで26年中は侵攻を続行できるとの見方が経済専門家の間では有力だ。

ロシアの脅威に対し、一段と軍事的対抗の動きを強める欧州はどうか。

トランプはNATOの集団防衛義務をはたすのか?

欧州ではウクライナ停戦が実現した場合、軍事力に余裕ができるロシアがバルトなどに侵攻してくる可能性があることへの警戒が強まっている。ロシアの欧州侵攻に対し、トランプ政権がNATO条約第5条(集団防衛)に基づく防衛義務をはたさないのではないか、との疑念が背景にある。

つまり、仮に停戦合意ができても、それはロシアによる欧州侵攻までの「戦間期」にすぎないとの危機感である。

こうした新たな軍事的脅威に対し、欧州では、NATO軍とは別の欧州軍創設を目指す動きが出てきた。特に顕著なのはドイツだ。侵攻を機に「軍事力行使の抑制」という戦後の伝統的平和主義を完全に脱ぎ捨てた。国防費増額のために憲法改正を行う一方、核保有国であるフランスとの間では核共有化に向けた秘密交渉を始めたことが明らかになっている。

アメリカの「核の傘」への信頼感が揺らいでいるのだ。これに対し、プーチン政権も欧州に対して、ウクライナの背後にいる主敵との認識を示している。75年のヘルシンキ宣言で始まった東西欧州融和の動きは、ロシアのウクライナ侵攻で完全に崩壊状態に至ったと言える。

吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

よしだ しげゆき / Shigeyuki Yoshida

1953年、東京生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。1986年から1年間、サンクトペテルブルク大学に留学。1988~92年まで共同通信モスクワ支局。その後ワシントン支局を経て、1998年から2002年までモスクワ支局長。外信部長、共同通信常務理事などを経て現職。最初のモスクワ勤務でソ連崩壊に立ち会う。ワシントンでは米朝の核交渉を取材。2回目のモスクワではプーチン大統領誕生を取材。この間、「ソ連が計画経済制度を停止」「戦略核削減交渉(START)で米ソが基本合意」「ソ連が大統領制導入へ」「米が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの脱退方針をロシアに表明」などの国際的スクープを書いた。また、2024年7月9日付の東洋経済オンライン「金正恩がロシアに工兵部隊の派遣を約束した!」で、北朝鮮がウクライナ侵攻への派兵を約束したことを世界で最初に報じた。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事