ロシアは「イラン戦争の勝者」になれない。原油価格高騰を享受できない新事態、権威失墜のプーチンは国民弾圧強化へ

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イラン戦争の恩恵を喜べなくなってきたロシアのプーチン大統領(写真:Bloomberg)

イラン戦争が2カ月目に入った。終結の時期やどのように決着するかは現時点では見通せない。この間のイラン情勢からロシアはどのような影響を受けたのか。ウクライナ侵攻はどうなっているのか。この2点について見ていこう。

まず、この2点が密接に絡んだ新事態から始める。

イラン戦争を受け原油価格が高騰した。これによる大きな恩恵を期待したのが、戦費増大などのため大きな歳入欠陥に直面しているプーチン政権だ。この4月の原油・天然ガスの輸出収入は前月比で70%も急増すると見積もられた。ロシアにとって、原油・天然ガスの輸出収入は、外貨収入の60%台を占める。

「ロシアがイラン戦争の勝者」は崩れる

だが、本稿執筆直前に、事態は、ロシア政府が予期しない形でさらに一変した。バルト海に面した3カ所のロシアの主力石油積み出し港が、ウクライナ軍の新型長距離国産ミサイル「フラミンゴ」やドローンの攻撃で大きな被害を受けたのだ。結果、現時点でタンカーは出港できなくなっている。

このため3月第4週のロシアの石油輸出実績が前週比で43%も激減する結果になった。ロシアにとって、史上最悪の輸出停止ともいわれる。

ロシアは懸命に積み出し施設の改修を急ぐが、修理したところで、ウクライナが再び攻撃してくるのは必至だ。

さらに、輸出の大幅減少だけで済まなくなる可能性も指摘されている。ロシアのある石油専門家によると、輸出が長期間、停止される状態になると、油田での原油採掘自体が停止に追い込まれる事態も考えられるという。

被害を受けた3港の1つ、プリモルスク港はキーウから1000kmほども離れているが、ウクライナとしては、イラン戦争による原油価格高騰がロシアの戦争資金源拡大につながる事態を阻止するため、必死になって攻撃を続けるだろう。

ウクライナは2025年夏以降、ロシアから継戦能力を奪う戦略を採用している(「『ウクライナ新反攻戦略は勝ち馬』とトランプが豹変」を参照)。奥地も含め、後方各地の石油精製施設への集中的攻撃を続けてきたが、今回攻撃対象を積み出し港にまで拡大したのは新戦略だ。

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