5年目に入ったウクライナ戦争では、地上戦もプーチンの思惑通りに進んでいない。
ロシア軍は3月半ば、東部ドネツク州などで春夏期の攻勢を始めた。集落制圧など小規模な進軍をみせているが、戦場で主導権を握るほどの勢いはなく、ロシア従軍記者たちの間で今回の攻勢が「始まる前から失敗が決まっている」と陰口がささやかれるほどだ。
このように、ロシア従軍記者からは今後ロシア軍が優勢になることは困難だとの悲観的見方が出ている。他方でウクライナ軍は南部ザポリージャ州などで反攻作戦を継続し、解放地域を拡大している。
知られていないロシア軍が苦戦する2大要因
こうしたロシア軍苦戦の背景にあるのは2つの要因だ。1つが「独ソ戦を超える5年目に突入したウクライナ戦争の今」で紹介したように、ロシア軍が無許可で使用していたアメリカの衛星通信サービス「スターリンク」を使えなくなったことである。
これにより、自軍部隊間でのリアルタイムでの連絡が極めて困難になった。最近、自前の衛星通信網を持とうと、ロシア政府は国産の通信衛星を打ち上げ始めたが、実戦で使えるようになるのかは疑問符が付く。
もう1つの要因は、先述したように、ウクライナのミサイル・ドローン戦力の充実だ。
25年秋、ロシア軍はウクライナ東南部で攻勢に出て、じりじりと占領地域を拡大したが、この背景にあったのがドローン兵器の充実だった。しかし、26年に入ると、状況は逆転した。ウクライナ軍のミサイル・ドローン戦力の整備が進んだのだ。
ウクライナ軍が長距離ミサイルで、ロシアの兵器生産工場を含めた後方の軍事インフラを叩きながら、ドローンで前線のロシア軍を圧倒できる状況が生まれつつある。
特にウクライナが期待しているのが、25年8月に公開された国産の新型長距離巡航ミサイル「フラミンゴ」だ。最大射程が3000kmもある。今年2月から本格的な攻撃での運用が始まった。
ウクライナの軍事筋は「もはやロシア内でウクライナの攻撃が届かない場所はなくなった。根本的に状況は変わった」と豪語する。
ロシアの最高幹部もウクライナのドローン攻撃への懸念を口にし始めている。ショイグ安全保障会議書記(前国防相)はこう危機感を表明した。「もはやロシアで安全な地域はない。ウクライナ国境から1500km以上離れたウラル地方ですら、ウクライナのドローン攻撃に脅かされている」



















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