ラーメン店を「バイトテロ」で閉店に追い込んだ大学生4年生が"特定祭り"で炎上、内定取り消しで土下座の末路 『子供部屋同盟』4章③

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

──ご存じですか奥様、奴らは「Z世代」などという「Z戦士」みたいなカッコいい呼び方をされています。不公平であります。我々なんぞ「氷河期」などという血も涙もない名称でカテゴライズされているのです。しかもZ世代どもは、そこそこの会社に就職すれば初任給三十万もらえるらしいじゃないですか。たぶんこやつらもそうです、ふざけた話です。国はいったい何をやっているのか、国策として氷河期こどおじを救済するべきです! 「子育て応援給付金」なんて支給している場合ではありません! 「こどおじ応援給付金」です! さもなければわたくしはここらで再臨界して“万次郎”から変身しちゃいますよ! 変身後の名前はすでに考えてあります!“万次郎マジ卍(まんじ)”というのはいかがでしょう、奥様!

──……。

──すみません、後半はちょっとどうかしてました。変身云々(うんぬん)のくだりは、わたくしの名誉のために忘れてください。

──で、二十一世紀に発生した似たような事例をざっと調べてみると、蕎麦屋で食洗機の中に入る、ステーキ店で冷蔵庫の中に入る、コンビニでアイスケースの中に入る、ハンバーガーの上に寝る、ゴミ箱に捨てた魚を捌(さば)く、回転寿司店で調味料の容器を舐め舐めする、随分とバラエティに富んでいるもんですね。いずれもSNSにアップしたことが発端で、いずれも店側は甚大なる損害を被っています。まさにテロと呼ぶにふさわしい行為ですね。

彼らの思想とは?

──本来、テロには思想があるものです。では彼らの思想とはなんでしょう? SNSにアップしている以上、彼らの思想はSNSでバズって有名になることなんじゃないですかね?

──その願い、僭越(せんえつ)ながら我々が叶えてあげましょう。そして彼らのテロを、自爆テロにしてさしあげましょう。

──今回の案件は同盟IT部の協力のもとに、わたくし万次郎が執行いたします。

──主犯格のテロリスト工藤には成敗A、側近の富田と佐伯には成敗B。執行は五月十日、午前十時より段階的に行ないます。ぜひL41番さんも、ことの顛末を見届けてください。

高橋 弘希 小説家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかはし ひろき / Hiroki Takahashi

小説家。青森県十和田市生まれ。2014年、『指の骨』で第46回新潮新人賞を受賞。2017年、『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』で第39回野間文芸新人賞を受賞。2018年、『送り火』で第159回芥川賞を受賞。他の作品に『朝顔の日』『スイミングスクール』『高橋弘希の徒然日記』『音楽が鳴りやんだら』などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事