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復活したスペインに学ぶ財政運営健全化の必要性/真逆を行く日本の悲惨な結果と今後

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  • 土田 陽介 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員

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かつての重債務国から脱皮し高成長軌道に乗ったスペインのペドロ・サンチェス首相(左)、「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗首相(右)と片山さつき財務相(中)(写真:Bloomberg)

筆者が8年ぶりに訪れたスペインのマドリードは、活況に沸いていた。それもそのはず、今やスペインは欧州連合(EU)の中で最も景気がよい国の1つだ。そのスペインは、2010年代前半に債務危機に喘いでいた。EUと国際通貨基金(IMF)から融資を受けるために、厳しい財政緊縮を行った結果、若者の2人に1人は失業する事態となっていた。

10余年前のスペインはビール1杯100円だった

その頃のマドリードでは、バル(飲食店)でビール1杯0.8ユーロという文句が躍っていたことが偲ばれる。グラスだったが、当時のレートだとおおよそ100円で供されていた。それだけ価格を引き下げなければ、バルでビールを飲む人さえ少なかったわけだ。それから10余年が経過したが、スペイン経済は文字通りの“復活”を果たしたといえるだろう。

ここで、債務危機に陥ったスペインがどのような手法で苦境を乗り切ったのか、振り返ってみたい。2000年代前半、スペインには多額のマネーが流入し、経済は絶好調だった。しかし2000年代後半になると、不動産バブルが崩壊し、さらにリーマンショックが起きたことで、スペインから多額のマネーが流出することになった。

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その結果、スペイン経済は立ち行かなくなり、EUとIMFから融資を受ける事態となった。代わりにスペインは、厳しい緊縮財政を余儀なくされた。まずは財政を止血することが求められたからである。その結果、景気に強烈な下押し圧力がかかり、雇用は極端に悪化した。しかし、同時に物価が下がったため、スペインの競争力が一気に改善した。

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【変動相場制をうまく活かせなかった日本】

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