朝ドラ「あんぱん」やなせたかし、漫画がヒットせずによかったワケ 思いもよらぬ形で転がる人生にさした光
ラジオドラマから生まれた「やさしいライオン」
手塚治虫からの依頼で、長篇アニメ「千夜一夜物語」のキャラクターデザインを手がけたやなせたかし。興行的に大ヒットとなり、手塚からはこんなことを言われた。
「ヒットのお礼に、何かアニメーションの短篇を自由につくってください」
制作費は手塚のポケットマネーから出すというから、太っ腹だ。やなせは初めてアニメーションを手がけることになった。
はたして、これまで創った作品のなかからどれをアニメ化するか。やなせが選んだのは「やさしいライオン」という作品だ。この作品が生まれたのは、こんな依頼を受けたことがきっかけだった。
「ホンがまにあわなくて穴があきそうなんですよ。何でもいいから大至急一本書いてください」
相手は文化放送のディレクターで、ラジオドラマの脚本が間に合わないのだという。そんなときこそ「困ったときのやなせさん」の出番だ。すぐに引き受けて、以前に書いた短いコントを30分のドラマに仕上げている。
これが「やさしいライオン」として、やなせの代表作の一つとなる。


















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