がんの激痛で知った《緩和ケア》「決して終末期だけのものじゃない」つらさに寄り添う全貌とは?

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(写真:mits/PIXTA)

猛暑が続いた6月から7月上旬にかけて順調だった体調に異変が起きたのは七夕のころだった。背中と胸が痛くて体位を変えても寝ていられない。やむなくオピオイド系鎮痛薬の「オキシコドン」(レスキュー)を1錠服用する。この薬を飲むと10分か15分ぐらいで効果が出始め、痛みが引いていく。

家族からは救急外来で病院を訪れるように説得されたが、7月10日に外来診察の予約が入っていたので、そこまで待つことにした。

当日は病院に立ち寄るバスに乗って通院。いつもどおり、採血を済ませて泌尿器科の待合スペースで診察まで待つのだが、ふらふらしてどうにも気持ちが悪い。

看護師さんに頼み込んで処置室のベッドで横にならせてもらった。こうして7月もまた緊急入院のハメになったのだが、今回はカラダや心の痛みを和らげる緩和ケアについて考えてみたい。

緩和ケアのあり方は変わってきている

緩和ケアというと、多くの方はいまだに、暗くネガティブなイメージを抱いているのではないだろうか。それまで投薬していた抗がん剤が効かないなど、もはや治療の手立てがない末期がんの患者の痛みを緩和するための療法というイメージである。

確かにそうした側面がまったくないわけではないが、最近は様相がずいぶんと変わってきている。国立がん研究センターのサイトには、WHO(世界保健機関)の定義として次のように紹介されている。

(緩和ケアとは)生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のクオリティ・オブ・ライフ(QOL=生活の質)を、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し、的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである

シンプルに言えば、必ずしも肉体的な痛みだけの問題ではないということだ。精神的な不安や経済的な問題までをも含む患者との家族にとっての重大な問題に対処してくれる包括的な療法なのである。

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