共働き家庭を待ち受ける「夏休みの壁」、学童なしで大丈夫?プロに聞いた乗り切り方 子どもの力を引き出すプランニング術とは

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サマーキャンプの様子

さまざまな体験ができるのは魅力だが、費用負担がかさむのではと心配な人もいるだろう。だが、島根氏は、お金をかけたり遠方へ出かけたりするのが難しい場合でも、アイデア次第で家庭でも充実した体験がかなうと指摘する。

「例えば、家事を本格的に任せてみるのもいいでしょう。料理や洗濯、掃除など、普段大人がしていることを一緒に挑戦してみる。子どもは意外と大人のまねをしたがるものです。家事の大変さがわかり親への感謝の気持ちが芽生えるかもしれませんし、何より生きる力が身につきます」

親子で一緒に買い物に行って、農産物の生産から販売までの仕組みを学ぶ、夏祭りなどで決まったお小遣いの中でやりくりし、金銭感覚を養うトレーニングをするなど、身近な生活の中にもさまざまな学びがあふれている。

「子ども自身も、そして親でさえも、その子にどんな才能や可能性が眠っているかはわからないものです。大人中心のリアルな社会に触れる機会は、子どもにとって大きな刺激になります。“面白そう!”と思えるものを親子で探し、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか」

宿題なしでも大丈夫? “やらされ感”なく学習習慣を維持するコツ

小学生の夏休みといえば、宿題も気になるところだろう。大量のプリントや自由研究が課される学校がある一方、最近では中学受験を見据えて塾に通う子どもに配慮し、まとまった宿題を出さない学校も増えてきている。

「宿題がない環境は理想的ですが、長期休みの間に学習習慣が途切れてしまうと、2学期につまずいてしまう可能性があります。そうならないためにも、起床・就寝時間は学校があるときと変えず、生活習慣の中に学習を組み込むことは大切です。学習の時間を1時間程度と短めに設定し、なるべく午前中の早い時間帯に終えてしまいましょう」

また夏休みは、苦手な科目や単元を見直す絶好の機会だが、2学期に習うところを予習しておくこともできる。島根氏は、子どもの学習に対するモチベーションを高める手段として、予習は非常に有効だという。

「授業の内容をあらかじめ理解しておくことで、学校で自信を持って手を挙げられるようになります。先生にほめられ周りからリスペクトされると、親から言われなくても自発的に勉強したいという気持ちになります。復習も予習も、すべての科目を網羅する必要はありません。お子さんがどこで壁にぶつかりそうかを見極め、そこを重点的にサポートしてあげるといいでしょう。また自由研究など、子どもの興味・関心・やってみたいことを実現してみる探究的な学びも、子どもの主体性を育む機会となるのでお勧めです」

プランニングは「子どもの自己決定とスケジュールの余白」がカギ

夏休みのプランを立てる際、「1年生など慣れないうちは、選択肢を親が提示してあげることも必要」と島根氏は話す。

子どもだけでは気付けないことがたくさんあるからだ。ただ、親の関与は成長とともに減らし、プランを子ども自身に考えさせ、任せてみることが大切だという。

子どもに任せるのは不安に思う人もいるだろうが、大人が立てる新年の目標も途中で忘れてしまったり、達成できなかったりすることは多々ある。たとえ、失敗したとしても、それもかけがえのない経験になる。

「重要なのは、計画する際に必ず余白を残しておくことです。予期せぬトラブルや、新たにやりたいことが見つかったときに対応できる時間の余白が、心の余裕につながります。子どもが自分で立てたプランで『充実した夏休みだった』と思えたなら、これほどすばらしいことはありません」

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