
日本の企業社会には、今なお根強く残る価値観がある。
「長時間働いている人は頑張っている」「みんなが残業する中でさっさと帰る人はズルい」「要領のいい人はきっと手を抜いている」――。だが、こうした“努力の美化”は、本当に企業の力になっているのだろうか?

筆者はウズウズカレッジという会社でIT分野の転職支援やリスキリング支援、法人研修を提供しているが、日々、多くの現場で「人材不足が慢性化しているのに、打開策が見えていない」現実に直面している。
日本の組織はいま、少子高齢化による労働力の減少、賃金上昇圧力、国際競争の激化といった社会的課題に直面している。
帝国データバンクの調査でも5割以上の企業が正社員不足で、仕事はあるのに人が足りず「人手不足倒産」に至るケースは過去最多だという。

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この状況を切り抜けるには「限られた人員で成果を最大にする業務効率化」が必須と誰しもわかっているはずだが、なぜ状況が遅々として改善しないのだろうか。
筆者は、高度成長期から受け継がれてきた「努力の美化」が、目的なき努力や惰性的な働き方といった無駄を抱え込んでしまい、「働けど成果が出ない」状況を許容してしまっていることが一因だと感じる。
本稿では、日本社会に根強く潜む「努力の美化」がいかに職場の非効率を温存しているのかを検証し、企業が生き残るために実践すべき3ステップを提示したい。
日本の「労働生産性」は先進国で最低レベル
日本人は働き者だと言われて久しい。確かに、決められたことをやりぬく力や技術力といった得意領域はあると思うが、企業の力を考える際は「働きを成果につなげられているか」を直視しないといけない。
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