日本生産性本部によると、OECDの2023年統計に基づく日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、ポーランドやエストニアといった東欧諸国と同水準の56.8ドルで、OECDに加盟する38カ国中29位。

就業者1人当たりで見ると、1970年以降で最も低い32位となっている。
ここで言われる「労働生産性」とは、どれだけの時間や人数でどれだけの付加価値を生み出したかという指標だ。円安や物価安といった市場の影響も受けるものだが、とはいえ「付加価値を生み出すための業務プロセスに改善の余地がない」わけではないだろう。
筆者がさまざまな組織の実態に触れて感じるのは、「付加価値を生み出す(成果を上げる)という目的からズレた"努力”が多すぎる」ということだ。
ゴールを見失った努力は無駄でしかない
そもそも、企業が何の目的で経営しているかというと「世の中が求めているものやサービスを生み出して、付加価値(利益)を上げる」ことだろう。カーナビで例えると、ゴール設定が「付加価値を上げる」ことになる。常にそのゴールに向かって軌道修正しながら走り続けることが、企業経営では健全なあり方だ。
ただ、日常の業務ではどうだろうか。ゴールを見失っているケースは少なくないのではないだろうか。
例えば、会議の省力化や他部署との情報共有が目的であるはずの議事録。実際には、上司からレイアウトなど見た目の印象を必要以上に細かく指示され、仕上げるまでに半日以上費やすケースもある。これは上司の指示が本来の目的から逸脱した「無駄な労働につながる業務依頼」となっているといえる。
また、現場でいつの間にか目的がズレるケースもある。
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