「温泉旅行で同じ部屋に宿泊」「終電逃して相手の家で一夜」“異性の友人”として30年「何もなかった」男女が46歳で結婚するまで

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「洋子と同じように、僕も一人で楽しく生きていけるタイプです。洋子と2人で暮らしたらより楽しそうだな、ぐらいの気持ちで結婚しました」

照れ屋なのか、健一さんは洋子さんへの愛を筆者の前で明言はしない。洋子さんのほうは酔いが回って完全に饒舌モードになっており、健一さんとの友情と彼との共同生活で自分が変わったことを何度も強調する。

「実家のことでいろいろあった私にとって、ケンちゃんはいつも駆け込み寺でした。会って一緒に飲めば、苦しい気持ちを吐き出せるんです。いい友達だとずっと思っています。私は一人だとだらしなくて、料理するのが面倒でツナと納豆、ミニトマトで食事を済ませたりしていました。今は肉巻きなどの名もなきつまみをいくつか作って晩酌に備えています」

外食も好きだけれど、自宅の業務用冷蔵庫には一升瓶を何本も入れてあるという2人。独身時代よりも酒量が増えたのが悩み、と洋子さんは笑う。

「私は天然キャラみたいに言われることがありますが、自分では真面目すぎるほど真面目に生きてきたつもりです。そんな私がケンちゃんの前ではふざけられるんです。ねじりとひねりの違いをやって見せるとか。これがねじり、これがひねりですね。すぐふざけちゃう。もっとふざけたい!」

健一さんは仕事以外ではその知性を「温かいツッコミ」に集中投下しているような人物だ。洋子さんがふざければふざけるほど健一のツッコミが冴えわたり、2人きりの酒盛りが夜更けまでヒートアップしていくのだろう。

30年かけて“流れ着いた”

「一人暮らしが楽しかったので、『絶対に結婚しない』とも思わないぐらいに結婚生活のイメージができませんでした。でも、結婚は悪くないですね。ずっと一人だった私は46歳でケンちゃんのところに流れ着いたんです。今は、この人を嫌な目にはあわせたくないな、と思っています」

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流れ着いたのはお互い様かもね、と健一さんは珍しく真顔でつぶやく。30年間も友達だった2人だから、「私が相手を幸せにする」という上から目線の発想はない。自分のことは自分でやる。でも、大切な友達でありパートナーでもある相手を「嫌な目にあわせたくない」。彼らにはそんな控えめな愛情表現がよく似合う。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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