「魚肉ソーセージ50円」「刺身200円台」「ランチ500円」激安で人気だった≪さくら水産≫が“残すところ11店舗”まで衰退した納得の理由

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端的にまとめれば、現在のさくら水産は、無難な海鮮居酒屋といった所感に落ち着く。ランチと同様、1番の優位性であるリーズナブルさが薄れたことで、“らしさ”が失われている印象だ。筆者が抱いた所感を率直にぶつけると、野田代表取締役はこう語る。

「さくら水産は10年ほど前から、客単価を上げるため高品質な戦略にシフトしていくが、過去の“安かろう悪かろう”のイメージが強烈で、消費者には企業努力が浸透しづらかった。

グランドメニューも年々マイナーチェンジしているが、それより顧客の記憶に残るのは、50円の魚肉ソーセージや200円台の刺身、そして500円ランチと、安さを売りにしていたメニューでした。特にメインの客層である年配の男性客は、過去の“安い”という固定概念が強い。旧態依然のままでは先細りしていくのは目に見えていた」

過去の成功体験も、時代にそぐわなくなれば足枷になる。往年のブランドイメージも相まって、ある意味さくら水産は八方塞がりな状況にあると言える。

生き残りをかけた“新業態”

そこで運営元のテラケンが目下、注力しているのが、新業態『魚がイチバン』の出店だ。

元々はさくら水産だった3店舗を改装し、2023年から業態転換を進める中、新業態の業績は好調に推移している。コロナ以前の2019年比で見れば、「九段靖国通り店」が約150%、「横浜日本大通り店」が約130%、「西新宿駅前店」が約110%だという。

後編『さくら水産社長「もう出店の予定ない」の真意』では、堅調な新業態の分析とともに、テラケンの今後の戦略に迫る。

佐藤 隼秀 ライター

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さとう はやひで / Hayahide Sato

1995年生まれ。大学卒業後、競馬関係の編集部に勤め、その後フリーランスに。趣味は飲み歩き・競馬・読書

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