「塞翁が馬」だからこそ人生は楽しい…山中伸弥さんが近大の卒業式で語った"二転三転"の研究者人生

大好きな中国のことわざ『人間万事塞翁が馬』
近畿大学卒業生の皆さん、本日はご卒業、誠におめでとうございます。また、ご両親、ご家族の皆さん、本当におめでとうございます。
実は私の娘も、つい最近、大学を卒業しました。ですから、今日お集まりのご両親と同じような気持ちでおります。本当に長年の子育て、お疲れさまでございました。
今日は、皆さんに私の大好きな中国のことわざをお伝えしたいと思います。それは、『人間万事塞翁が馬』、略して『塞翁が馬』。
こういうことわざです。
『塞翁が馬』の"塞"というのは"お城"です。"翁"というのは、"おきな、おじいさん"ですね。中国のお城の近くの村に、おじいさんがいたらしいです。そのおじいさんの唯一の財産は、一頭の馬。そして、ひとり息子さんと住んでおられたそうです。
ところがある日、その唯一の財産の馬が逃げてしまいました。すぐ村人たちが集まってきて、おじいさんを「大変ですね」と慰めました。でも、おじいさんは冷静に「いやいや、これは何かいいことの始まりかもしれない」と言いました。
すると、2、3日してその馬が帰ってきて、しかも、その馬よりもさらにいい名馬を一緒に連れてきました。
村人はまたすぐ集まってきて、「いや、おじいさん素晴らしい。よかったですね」と言いました。でも、おじいさんは「いやいや、これは何か悪いことの始まりかもしれない」と答えました。
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