「食事・コーヒーで1500円超え」だが客足は途切れない…「決して安くない」コメダ、それでも愛される理由

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ただ、もともとコメダHDは「郊外・ロードサイド、100席以上、駐車場アリ」といった郊外型店舗を得意としており、これまで手薄であった「都心・ビルテナント」(新橋烏森通り店・梅田HEP通店など)といった条件の出店も増加させていく必要がある。物件の確保だけでなく、「都心のテナント料を払えるフランチャイズ企業の育成」も、課題となってくるだろう。

また海外は、2025年3月にシンガポールのカフェチェーン「POON RESOURCES」を子会社化しており、コメダHDは2026年2月期に、「POON」込みで「売り上げ16.6%プラス(548.8億円)、純利益16.4%プラス(67.7億円)」を見込んでいる。これが、海外出店、1200店達成の成否にかかわってきそうだ。

もうひとつの課題は「セカンド・ブランドの養成」だ。いまのコメダHDは「コメダ珈琲店・1055店、コメダ和喫茶おかげ庵・16店、その他(米屋の太郎・ジェリコ堂など)6店」。コーヒー豆がの仕入れ値が高騰する状況では、全体の97%にもおよぶ「コメダ珈琲店・一本足打法」から、リスクを分散させる必要がある。

さらなる成長の鍵を握る「おかげ庵」

ここでカギを握るのは、ブランド立ち上げから25年以上が経過し、コメダとの棲み分けが図れている「おかげ庵」だ。

コメダHDにお話を伺っても「今後はおかげ庵の出店を加速させていただく段階になった」と意欲を見せており、今後はフランチャイズ企業に「おかげ庵」を出店してもらい、「おかげ庵のフランチャイズも収益をとれる!」と言い切れる成功例を作ってもらう必要があるだろう。

和食や日本の食事で高単価をとれる海外にも、コメダ珈琲店だけでなく「おかげ庵」展開の余地がある。

ただし「おかげ庵」は、6月27日オープンの新店舗(川崎西口店)でようやく首都圏8店目、そもそも「おかげ庵」とはナニモノだ?……という方は、本店のある名古屋を巡って、チェーンストアとしての実力を見分してきた前編記事「コメダが拡大『和喫茶チェーン』一体どう違うのか」をご覧いただきたい。

コメダ珈琲 高知県・土佐道路店
コメダ珈琲店は、地方にも積極出店している。写真は高知市・土佐道路店(筆者撮影)

ただし、コメダ珈琲店が前提条件として守るべきは、デフレマインドの中で「ドリンク・フードで1000円、1500円」という高単価を払ってくれる顧客のために、くつろげる空間とおいしいフードを維持していくことだろう。

「コメダ」の看板があれば、郊外でもビルテナントの2階でも足を運んでくれる顧客のために、サービス面では「くつろげる空間の維持」、内部では「複数店舗を展開できるフランチャイズ企業の育成」が、これまで以上に必要となってくるだろう。

【前編】コメダが拡大「和喫茶チェーン」一体どう違うのか では、コメダHDが拡大している和喫茶チェーン「おかげ庵」の魅力と強さを、豊富な写真とともに読み解いている。
宮武 和多哉 ライター

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みやたけ わたや / Wataya Miyatake

バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護にリアルに対処中。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅(既刊2巻・イカロス出版)など

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