『科学的根拠で子育て』著者が指摘する「ゲームをやめさせれば勉強するようになる」は勘違い

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窪田氏、中室氏
学力や視力に悪影響を与えているのはゲームというよりも……(中室氏<右>の写真は本人提供、窪田氏の写真は撮影:梅谷 秀司)
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『「学力」の経済学』『科学的根拠(エビデンス)で子育て』の著者であり、教育経済学の視点からデータやエビデンスに基づいた子育てを提唱する中室牧子氏。
近視は病気です』の著者で、世界的に問題になっている子供の近視対策の啓蒙活動を行う眼科医の窪田良氏。
教育と医療で分野の違いはあれど、実は2人の主張にはいくつもの共通点がある。対談企画の第4回は、子供のゲーム時間が学力や健康、目にどんな影響があるのか、世間一般で持たれる誤解を解いていく。

1時間ゲームをやめても学習時間は1~2分しか増えない

窪田:中室先生のご著書を読んで驚いたのが、ゲームをやめさせても子供の勉強時間がほとんど変わらないというデータでした。たった数分しか変わらないんですよね。

近視は病気です
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中室:子供がゲームをしているから勉強する時間が減っている、と思っている保護者は多いと思います。でも、経済学の研究では、テレビを見たり、ゲームをしたりすることが、学力に与える影響はそこまで大きくないことを明らかにした研究が少なくありません。

これはなぜかと言うと、私たちが因果関係と相関関係を混同していることによって生じています。つまり、ゲームをするから学力が低くなるのか(因果関係)、もともと学力が低い子供がゲームをしているのか(相関関係)、といえば、ゲームと学力の関係は後者の「相関関係」だからです。もしもゲームと学力の間に本当に因果関係があれば、ゲームをやめさせれば学力は上がるでしょうが、そうではないのでゲームをやめさせても期待されたような効果があがらないというわけです。

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