欧州の新型車が集結「列車のテストコース」とは? 各国の鉄道技術支えるチェコの巨大な「周回線」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

完全新設計の車両は、EUおよび各国の運輸省が取得を義務付けている認証を得ていないため、本線上での試験走行は線路封鎖をしない限りどの国であっても認められない。だが、試験周回線として登録されたヴェリム試験センターでは、それを行うことが可能となっている。この周回線を使って走行を重ね、認証に必要な条件をすべてクリアできれば、そこで初めて本線での走行が可能になる。

こうした走行試験場は、欧州にはヴェリム以外にも存在する。例えばシーメンスは独自の走行試験周回路を保有している。しかし、最高時速200km以上で走行できる周回路を持つのは欧州でヴェリムが唯一となっており、それゆえシーメンスも有力な顧客の1つとして、多くの新型車両を持ち込んでいる。

シーメンス ヴェクトロン
ヴェリム試験センターで走行試験を行うシーメンスの機関車「ヴェクトロン」。時速230km仕様とバイモード仕様の2両(撮影:橋爪智之)

チェコの「最高速度記録」達成の場にも

ヴェリム試験センターの歴史は古く、建設は1960年に始まり、1963年に開業した。当初はチェコスロヴァキア国鉄(当時)の走行試験場として運営され、1964年8月27日には同国の誇る急行用蒸気機関車498.1型(アルバトロス)が最高時速162kmを記録している。

1972年には電気機関車のE469型3030号機(現124型601号機)が時速219kmを達成し、現在のヴェリムでの速度記録は振り子式電車のペンドリーノ680型が2004年に記録した時速237.04kmだ。この速度は2025年時点におけるチェコ共和国の鉄道最高速度記録にもなっている。

チェコ 124形電気機関車 速度記録保持車
チェコ国内最高速度記録を保持していた電気機関車、124型601号機(撮影:橋爪智之)
【写真】最高速度記録の機関車は信号システムの試験用として活躍している
この記事の画像を見る(38枚)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事