「社員が全員、辞めてしまいました…」ひとり残された社長が学んだこと 「当たり前のことしかしてない部下に、感謝しないといけないんですか?」

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ここで「やって当たり前のことしかしてない部下に感謝しないといけないんですか?」という先ほどの質問について、考えていただきたいと思います。

部下を失う前に「部下のありがたさ」に気づく

W氏もK氏も、部下が日々の業務をやってくれることが当たり前ではない状況を経験し、日々部下に感謝できるようになります。

つまり「部下が当たり前のことしかしてない」と感じるかどうかは、上司の感覚の問題なのです。

もちろん部下が期待どおりの動きをせず、物足りなさを感じることもあると思います。

先の質問はその不満の表れなのかもしれません。ただ、W氏やK氏と同じような経験をした場合、果たしてこういうことが言えるでしょうか。

優秀な人は、そのものを失う前にそのもののありがたさに気づき、失わないように対応します。一方で、優秀ではない人は失うまでそのもののありがたさに気づけず、失った後にそのありがたさを痛感して後悔します。

部下を失ってから部下のありがたさに気づくのではなく、部下を失う前に部下のありがたさに気づける上司であってほしいと思います。

それは、人手不足の昨今の状況ではなおさらのことです。

部下がやってくれることを「当たり前」と思うと、感謝の気持ちを持てなくなります。

「ありがとう」が言える上司になるためにも「当たり前」の感覚を見直してみてください。

すると感謝の気持ちが持てるようになります。

感謝の気持ちが持てたら、素直に言葉に出してみてください。

これは部下の離職を防ぐうえで極めて重要な関わりとなります。

藤田 耕司 経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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ふじた こうじ / Koji Fujita

一般社団法人日本経営心理士協会代表理事、公認会計士、税理士、心理カウンセラー。これまで1200件超の経営相談を受け、心理学と会計を活用した経営改善を行う。その経験から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営改善の成果を高める。また、経営心理学を学ぶ「経営心理士」の資格を創設。経営心理士講座の受講生はのべ5000名を超え、その内容は大手企業や省庁でも導入される。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社 日本、台湾、韓国の3カ国で出版)、『経営参謀としての士業戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)。

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