NHK→フジ転職のP「日本一の最低男」作ったワケ 香取慎吾に「有害な男性性」背負わせた意欲作の意図
「『人にやさしく』のオマージュを行うという意識はなく、内容的には前半戦でこれまでの家族ドラマを今の時代にきちんとアップデートしようと思って作りました。

男性同士で子育てをしてもいい時代ですし、義兄弟の男性2人で子育てや家事を行うという設定にして、さらに『有害な男性性』についても描きたかったので、序盤は香取さんに有害な男性性を背負ってもらい、志尊淳さんに令和の時代の男性像を体現してもらって、2人の価値観のぶつかり合いと対話を丁寧に描いたつもりです。
女性キャラクターが男性に対して指摘し、変化を求めていくドラマはこれまでにもあると思うのですが、女性が男性に指摘するのではなく、男性同士で指摘し合って反省して、有害な男性性を乗り越えていくドラマをやりたかったんです」
――第7話で、さらに昭和の男性として一平の父親(柄本明)が出てきましたが、正助(志尊)は彼を否定しないセリフがありました。
「今はどうしても昭和の価値観を断罪しがちで。昭和を生きた人もその時代の求めたものを背負っていて、間違えていたとは言えないと思うので。
この第7話は本当に蛭田さんの作家性がとても色濃く出ている回だと思います。蛭田さんは、誰も傷つけない、否定しない、繊細で優しく温かな目線を持っていらっしゃいます。世代間の分断をどう乗り越えるか、父親世代の価値観も決して断罪しない点を含め、僕が描きたかったものを想像以上のセリフと構成力で描いてくださいました。
分断ではなく対話を、そして、その先でどう解決していけばよいかを描くのは蛭田さん脚本の真骨頂だと思っています」

価値観の違いをどちらも否定しない
――有害とされる側も、その時代の社会がそうさせていた面があるということに第7話では着目していました。男性にもさまざまな男性がいるというドラマなんですね。
「男性同士に焦点を当てている回もありますが、もちろん女性のことも描いています。子どもを産むことが正義であるというような家族ドラマにはしたくなかったので、冨永愛さんには、子どもを産まない選択をしていて、血縁の外側から子どもたちに関わる立場の女性を演じていただきました。男性同士のケアやさまざまな家族のカタチ、子どもを産まない女性、できうる限りすべての人の生き方を肯定したいという思いで作りました」
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