NHK→フジ転職のP「日本一の最低男」作ったワケ 香取慎吾に「有害な男性性」背負わせた意欲作の意図
「これまでにも、香取さんと子役のドラマは『人にやさしく』(2002年)をはじめ、ヒット作があるので、まずは香取さんの家族ドラマを見たいという入り口からでも興味を持っていただけるように心掛けました。なるべく低い目線から社会的な課題を描くように気を付けたつもりです。
中でも、前半では育児家事と仕事の両立、同性婚、不登校、こども食堂、保育園の労働問題など、個人の問題では解決できない、すべて政治的な解決が必要だと思うことを描きました。終盤の選挙ドラマ編では、主人公の一平がこういった個人が抱える日常の問題は政治的解決が必要だと感じ、選挙に打って出ることになります。選挙戦では、主人公が既得権益と闘うことで、今の政治や社会状況を描いていくという構想でした。

『日本一の最低男』というタイトルの意味がわからない、一平はいい人だという声もたくさんいただきましたが、最後まで見ていただければ、このタイトルをつけた理由がわかるようになっています」
――香取さんでニセモノ家族ドラマを考えたということは、香取さんありきの企画だったのでしょうか。
「そうです。プロット段階で香取さんが主演を引き受けてくださっていたので、香取さんをイメージして一平のキャラクターを作っています。香取さんは家族ドラマで描く陽の部分と、社会派ドラマで描く陰の部分、その二面性を演じ分けられる稀有な存在の俳優だと思っています。
しかも、香取さんの持つある種のポップさによって、社会的な題材を扱っても暗くなりすぎず、いい意味で気軽に見ることができるので、そのバランス感も素晴らしいと思っています。重くなりすぎない社会派エンタメドラマを作ることができたのは香取さんのおかげです」
香取さんに「有害な男性性」を背負ってもらった
――香取さんの主演作『人にやさしく』のオマージュにはどういう狙いがあったのでしょうか(主題歌担当だったブルーハーツの歌が出てきたり、第8話では『人にやさしく』の出演者が登場した)。
「須賀健太さん、星野真里さん、八木優希さんら、香取さんと縁のある方々のキャスティング、保育園の名前をフォーピース保育園にしたこと、香取さんに『おっはー』と言っていただいたりしたのは、これまでの香取さんの作品を見ている人にはより楽しんでいただけるだろうという遊び心と、こちらが香取さんの過去の作品群へのリスペクトを持っているということが伝わればいいなという思いからです」

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