「自分はまだ介護保険の世話になる必要はない」というのは、しばしば筆者の周囲からも聞かれる言葉。Aさんもそうでしたが、自分の体力を過信しているのに加え、「介護保険を申請する=介護を受ける人になる」というイメージが強く、「自分は人の世話にはならない」と、頑なに拒否してしまうのです。
確かに介護は「人の世話になる」という面もありますが、同時に「状態をよくするため」、あるいは「身体機能を維持するため」のサービスでもあります。
そこで筆者は知人に、まずは父親の「介護を受ける=人の世話になる」という考え方を変えることが必要だと思い、そのためのちょっとしたポイントをお伝えしました。それは「介護を受ける=今より快適に過ごせるようにする」という方向で話す、というものです。
実際、「誰かに介護(世話)してもらわないと困るでしょ」と話すより、「今よりよくなるために、介護サービスを受けてみよう」と水を向けるほうがポジティブな印象で、「やってみよう」という気になる人が多いように思います。
また、「せっかくこれまで介護保険料を払ってきているのだから、サービスを使わないのはもったいない」と、金銭面からアプローチするのも1つ。
詳しくは後述しますが、介護保険の申請を行わずとも、介護予防のプログラムを利用できる制度もあり、3カ月以内であれば無料でリハビリを受けられるプランなどもあります。「せっかく無料で使える制度があるんだから、試しに利用してみよう」などと話してみるのも手です。
何より、いざというときにこうした話ができるようにしておくためにも、まずはどんな制度があり、どんなサービスが利用できそうなのか、知っておくことが大事です。
介護と医療制度の抜け穴
そこで今回は、介護と医療制度の抜け穴ともいえる、知られていない制度のポイントを3つご紹介します。
●介護予防・日常生活支援総合事業
1つ目が、先述の介護保険の申請を行わずとも、介護予防のプログラムや日常生活の支援を受けられる「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」という制度です。
日常生活を送るうえでのちょっとした困りごとを助けてもらいたいときや、元気で過ごすための介護予防のプログラムを利用したいときなどに使えます。
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