大和ハウス工業、「電撃」社長交代の戦略的な狙い 中期経営計画の途上に、7年ぶりの社長交代

「社長交代を知らされたのは、発表前日の午前やった。交代と聞いて、腰を抜かしたわ」。大和ハウス工業のある幹部はこう明かす。
大和ハウスは2月13日、4月1日付で芳井敬一社長(66)が退任し、大友浩嗣取締役専務執行役員(65)が後任の社長に就任する人事を発表した。約7年ぶりの社長交代で、芳井氏はCEO(最高経営責任者)を続投し会長と海外本部長に、大友氏は社長・COO(最高執行責任者)に就任する。
大友氏が国内事業を担い、芳井氏が海外事業に注力する「二人三脚」体制で、一段の成長を目指す。
突然の交代の理由は「油断を生まないため」
2026年度を最終年度とする中期経営計画の途上での交代ということもあり、社内では驚きが広がった。大友氏自身も、社長交代を知らされたのは発表前日の20時半。宿泊する大阪市内のホテルで、芳井氏の部屋に呼ばれ、「明日、記者会見や」と知らされた。
「まったく社長交代の予兆はなく、準備もできていなかった」と、大友氏は振り返る。
今回、東洋経済の単独インタビューに応じた芳井氏は、突然の交代の理由について「社内に油断を生まないため」と説明する。「次の社長は誰だろうと想像が始まると、社内がざわつき油断が生まれる。誰も意識していないときにバシッと交代に踏み切ったほうがいいと思った」(芳井氏)。
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大友氏は住宅事業の経験が長く、2023年からは海外本部長を務める。海外事業の新たな稼ぎ頭として期待されるアメリカの賃貸住宅会社への出資も主導した。芳井氏は「大友氏には国内を知り尽くしてもらって、できることはすべてやってもらいたい」と期待を寄せる。
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