大和ハウス工業、「電撃」社長交代の戦略的な狙い 中期経営計画の途上に、7年ぶりの社長交代

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大和ハウスの業績は目下、絶好調だ。現行の中期経営計画の最終年度にあたる2026年度に売上高5兆5000億円、営業利益5000億円の目標を掲げているが、2023年度には売上高が5兆円を突破。2024年度に売上高は5兆3700億円、営業利益は4400億円に達する見込みだ。

「このままいけば2025年度の数字が出たときに、2026年度の目標がしょぼくみえてしまう」と芳井氏。「中計は非常に順調に進捗している。2024年の4月ごろから中計を2025年度で終わらせ、新しい中計を発表しようと決意していた。新中計をつくりこんでいくためにも新体制をとるべきと判断した」。芳井氏は交代の理由をそう語る。

これから伸びるのはリフォームや買い取り再販

快進撃を続ける大和ハウスだが、5兆円の先を目指すには国内事業の地盤固めと海外事業の多角化が欠かせない。

営業利益の約9割を占める国内事業を担う大友氏は、「われわれが注力すべきは第一に戸建てや賃貸などの住宅だ」と強調する。人口が減少する中、住宅市場の縮小は避けられない。注文住宅の高付加価値化やセミオーダーなどの手頃な価格帯の商品の拡充に加え、同時に強化してきたのがリフォームや買い取り再販などのリブネス事業だ。

大友氏は「これから伸びるのはリブネス事業などのストックビジネス。リブネス事業の足元の売上高の見通しは約3800億円だが、1兆円を目指せる事業だ」と強調する。

商業施設や物流施設、データセンターなどの非住宅事業の拡大にも注力する。大和ハウスの2023年度の国内売上高に占める割合は戸建住宅セグメントが約1割、賃貸住宅セグメントや商業施設セグメント、物流施設などの事業施設セグメントがそれぞれ約3割と事業ポートフォリオの多角化が進んでいるのが強みだ。

 

「物流施設やデータセンターをはじめ、われわれにはたくさんのリソースがあり、まだまだできることがある」と大友氏は意気込む。ストックビジネスだけでなく、非住宅での強みをどう伸ばすか。大友氏の手腕が問われる。

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