開発に当たっては現場が主導して進めながら、経営層の意見も積極的に取り入れられた。ある意味理想的な組織の在り方だが、不二家がそんな組織になったのには、ある転機があった。
2007年に業績が悪化し、山崎製パンが不二家株の35%を取得、グループの傘下になったのだ。そこから組織は大きく変化していったという。当時の平均年齢が42歳だったのに対して、社員も大幅に若返った。
いつしか、「若い人が働きやすい、やりがいのある仕事を進めていこう」という機運が起こり、今では、若手と中堅社員がフラットにコミュニケーションをとれる環境がある。若手がさまざまな挑戦をして成果も出しており、今回の事業もそのひとつだったのだ。

「既存リソースの掛け算」で天然水事業も
不二家の2024年12月期の売上高は、約1,099億円で対前期比104.2%。営業利益は約22億円で、対前期比167.2%を記録している。
その一角を担う事業について、意外な話も聞かせてもらった。不二家は中国の杭州に現地法人と工場を持っており、海外事業のなかでもかなりのウェイトを占めているという。驚いたのは、そこで生産・販売している商品の9割が、日本ではあまり目立たない存在である棒付きのポップキャンディだということだ。

飲食店で子どもへのおまけによく渡される、あの、平らで楕円形の棒付き飴である。「中国では、ペコちゃんのキャラクターも含めて20年以上親しまれており、日本より高い価格で売れているんですよ」と金田部長は教えてくれた。老舗企業の海外展開の多様性を示す興味深い一例だ。
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