最初にキーマンとなったのは、「ドーナツに造詣が深い役員」だという。最初の発案も彼からで、「ドーナツとソフトクリームの相性がいいことをよく知っていた」と金田さん。
その役員の下に総括的な立場として50代の金田さんが座り、20代の男女を含めた、年齢も経験もバラバラのメンバーが集められた。ドーナツ業態の経験者もおり、60代の役員のアドバイスを受けながら、みんなで意見を出し合いブランドをつくりあげていったそうだ。

なかでも店舗設計やパッケージには若手の意見を優先的に取り入れ、ドーナツをくわえたペコちゃんを大きくデザインした。

そのかわいさは客の心を捉え、特に持ち帰り専用箱が「お土産にぴったり」と幅広い世代に喜ばれている。
キャラクターが予想以上に人気になったため、チャームもグッズとして販売し、好評を博している。「ペコちゃん人気のすごさを改めて感じています」と金田さんは手応えを語る。
けれど、ここで少し疑問が湧いた。通常、新業態の開発に当たっては、アゲインストが吹きがちだ。ドーナツのチームが立ち上がった際、社内に反対の声はなかったのだろうか。
おそるおそる金田さんに聞いてみると、「ネガティブな声はなかった」と間髪入れずに否定された。どうしてだろう。
危機が育んだ、若手起用と挑戦する風土
不二家は1910年に創業した、115年の歴史を持つ企業だ。しかし、現在の平均年齢は36歳と若い。そのため、若手の意見を押しつぶさずに吸い上げ、「積極的にチャレンジしてもらおう」「活躍の場をつくっていこう」と背中を押す風土があるという。
ドーナツという新事業に対しても、「新しいお客様をどんどん増やして既存のケーキ店も利用してもらえるよう、積極的にチャレンジしていこう」という一致団結ムードがあった。

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