被害者から加害者に「母から虐待を受けた子」の半生 成人後も続く「負の連鎖」克服は容易ではない
当然ながら、暴力を振るったのは、高島さん自身の選択だ。母に虐待を受けたからといって、恋人へDVした事実から目を背けるわけにはいかない。
ただ、幼少期の虐待の影響は、一度収まったように見えても容易に克服できるものではないことを思い知らされる。
恋人と破局した高島さんは生活苦に陥り、生活保護を申請する。その際、行政のケースワーカーや保健師と出会い、その流れで精神科を紹介してもらう。
そこで高島さんは、境界性人格障害との診断を受けた。
一般的に、境界性人格障害とは、感情や気分をコントロールできず、対人関係に支障をきたす症状として知られている。遺伝的要因や、両親の離婚や虐待といったトラウマを幼少期に経験することで、発症の確率が上がるといわれている。
よく見られる症状としては、激しい感情の起伏や、見捨てられることへの強い不安、自傷行為など衝動的な行動などが挙げられる。
カウンセリングで負の連鎖に気づく
カウンセリングの一環で、高島さんは幼少期の両親の別居や、母からの虐待を打ち明ける。そこで家庭環境に原因がある可能性が高いと判断された。
高島さんは、自身の精神疾患と向き合ううちに、かつて母から受けていた虐待行為を、そのまま恋人にしていたのではと自覚するようになる。幼少期は虐待の被害者として、成人以降はDVの加害者として、高島さんの人生には虐待の連鎖が付きまとっていた。
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