被害者から加害者に「母から虐待を受けた子」の半生 成人後も続く「負の連鎖」克服は容易ではない

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「当然のことですが、母から虐待を受けていたからといって、DVが許されるわけではありません。恋人には破局したいまも申し訳ない気持ちでいっぱいです。

ただ、自分が経験してきた虐待やDVを打ち明けることで、近しい境遇にある人が救われてほしいと思います。私は精神障害に気づくまで30年以上かかりました。小学生までは祖父母と同居しており、児童相談所に一時保護された経験もあるのに、母からの虐待が収まることはなかった。加えて、知人にこれまでの虐待やDVについて話しても、距離を置かれることも多かった。

それだけ虐待やDVの問題は、明るみになりづらく、周りに理解してもらうことも難しい。それを身を持って体験してきたので、せめて自分の経験が当事者に届いてほしいと思います」

生活保護を受給しながら治療を続ける

現在、高島さんは35歳。現在は生活保護を受給しながら、精神科のカウンセリングを、週2回の訪問看護で受診している。

「精神科に通い始めた当初は、抗うつ剤やてんかんなどの薬を処方されましたが、いまはなるべく服用を制限しています。

代わりに、地域の健康サポートセンターで働く保健師に話を聞いてもらったり、日記をつけたりしています。自分の感情を表に出すことで、共感してもらう安心感や孤独感が軽減し、モヤモヤした感情を整理できる。自分がどういうときに癇癪を起こしたり、気分が沈んだりするかも、日記をつけることで客観視できるようになりました。

振り返れば、私は幼少期は虐待の被害者として、成人以降はDVの加害者として、身を持って虐待が連鎖していくことを痛感しました。こうした悪循環を断ち切るため、今後も治療に専念するつもりです」

高島さんが虐待を受けて苦しんだ時間や、DVの罪が消えることはない。それでも、これまでの境遇を変えるため高島さんは奮闘を続ける。

佐藤 隼秀 ライター

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さとう はやひで / Hayahide Sato

1995年生まれ。大学卒業後、競馬関係の編集部に勤め、その後フリーランスに。趣味は飲み歩き・競馬・読書

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