三菱UFJ「貸金庫事件」で実在した"黒革の手帖" 元行員は「いくら盗んだのか」をメモにしていた

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三菱UFJ銀行は再発防止策として、各支店で保管されている予備鍵を本部に集約する。予備鍵と銀行のカギを物理的に分離することで、支店単独では貸金庫を開けられない仕組みに変更する。

同行は事件の発覚を受けて、全支店の予備鍵の保管・利用状況、貸金庫室の入退室や貸金庫の開閉データなどを調査。事件が起きた都内の練馬・玉川の2支店以外では、同様の問題が起きていないことを確認したという。

実際に被害を受けた可能性が高い約60人の顧客には個別に連絡し、貸金庫の中身について確認してもらっている。被害内容が特定された顧客から補償を順次始めており、これまでに補償へと進んだ人数は20人弱(金額は約3億円)だという。

また、練馬・玉川の2支店で貸金庫を契約している全顧客に連絡を取り、意向に応じて貸金庫の中身の確認を打診している。約7割の顧客が確認を行ったところ、新たに数十名の顧客が被害の可能性や違和感を申し出ているという。

元行員の「詳細なメモ」の存在

顧客が貸金庫に格納する内容物について、銀行は中身を確認しないため、何を入れていたのかは本人しか知らない。

三菱UFJ銀行はそれぞれの貸金庫から元行員が窃取した金額等の把握について、元行員の供述のほか、貸金庫室の入退室データや監視カメラの映像なども合わせて検証作業を進め、「お客様とのすり合わせを行っている」(山下邦裕・執行役員リテール・デジタル企画部長)という。

もっとも、貸金庫室の入退室状況や貸金庫の開閉ログを確認したところで、元行員がどれほどの現金を窃取したのか把握するのは難しいだろう。内容物を紙袋などに入れて貸金庫に格納するため、監視カメラの映像を見たところで現金がいくら抜かれたのか、わからないはずだ。

頼りになるのは元行員の供述だが、4年半にわたり約60人に及ぶ顧客の貸金庫から、それぞれ現金をいくら窃取したのか正確に記憶できるものだろうか。この点について、同行は会見で回答を避けたが、どの貸金庫からいくら盗んだのか、元行員の詳細なメモが存在しているとされる。

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