賛否両論「新生ジャガー」は何を狙っているか? 奇をてらったわけじゃない確かな戦略の確信犯
もうひとつの0は、ブランドの「リセット」だとスティーブンス氏は言う。現在ジャガーでは、既存車種の製造をほぼすべてストップしており、2026年からBEVの生産に乗り出すとされる。
それだけに、今回のタイプ00は衝撃的でなくてはならなかったのだ。それがジャガーのブランド戦略であり、「物理的なマニフェスト」の意味でもある。
「世の中には数多くのBEVが存在していますが、どれも似通っていて実用性重視です。私の眼からすると、まったくそそられない。BEV専用ブランドになるジャガーがそこで勝つためには、正反対の方向に行けばいいと思っています」
さらにスティーブンス氏は「ジャガーは市場の期待を裏切るのが、実は得意なのです」とつけ加える。
「好例が1961年のスポーツカー『Eタイプ』で、『まさかこんなクルマを出すとは!』と世界中を驚かせました。今でも世界でもっとも美しいクルマとして、筆頭にあげられるぐらいです」
ジャガーは何も真似しない。という言葉をあげるのは、チーフクリエイティブオフィサーとして、ジャガーのデザインを統括しているジェリー・マガバーン氏だ。
「私たちは何も真似しない(Copy Nothing)という創始者、サー・ウイリアム・ライオンズの言葉をモットーに、今回のタイプ00をデザインしました」
狙うポジションは「ベントレーの少し下」
まず4ドアが登場し、2ドアクーペはあとから登場するという。しかし。それがいつになるか、現段階での発表はない。そのとき実車が“世界一美しいクルマ”であるEタイプの再来を思わせてくれるかは不明だが、そこは楽しみにしておこう。
なにはともあれ、ジャガーのリセットは、これまでより上の市場を狙うブランドへと飛躍することも意味している。
「BEV専用ブランドになるのは、私たちの戦略です。新生ジャガーは、これまでよりしぼった台数のモデルを、より高い価格で販売することになるでしょう」
スティーブンス氏は、例として“ベントレーより少し下”のポジションをあげた。現状ではタイプ00と呼ばれている2ドアクーペ(のコンセプトモデル)。価格は20万英ポンド(1英ポンド=190円として3800万円)ともいわれる。ジャガーはあきらかに、とびぬけようとしているのだ。
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