ドラッグストア成長鈍化、勝ち組の分かれ目は? あらゆるコスト上昇で利益確保が難しい状況に

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このほか、増収増益のツルハHDも、今期は65店の新規出店と同時に、78店舗の閉店を進める。今年6~8月期は20出店の一方で30店を閉鎖するなど、不採算店の閉鎖も並行して行う質重視の方針だ。

大手メーカーと開発したコスモス薬品のPB食品。店の棚札には開発メーカーの社名を明記して品質の高さもアピールしている(記者撮影)

同社はPB商品で工夫をこらしている。大手メーカーと共同で「謎味」のポテトチップス(カルビー)やカップラーメン(エースコック)を販売。独自性の強い商品を打ち出し、SNSでも注目を集めている。

マツキヨココカラはデジタルの分野で顧客の囲い込みを進める。今年2月末以降、公式アプリに肌診断やバーチャルメイク、調剤サービスなどの機能を次々に追加した。

12月には化粧品メディア「LIPS」の運営会社を買収。口コミを活用した新しいPB化粧品の開発も進めていく。直近四半期の営業利益は前年同期比1.3%増とほぼ横ばいだが、同社は今期を投資期間と位置付けており、将来に向けた成長基盤の整備を優先しているようだ。

成長一巡後の課題とは?

ここ数カ月、ドラッグストア業界の販売額の伸びは鈍化している。経済産業省の統計によると、業界の販売額は去年3月からおおむね前年同月比7%以上の伸びが続いていた。しかし、今年4月以降は上昇幅が縮小し、今年9月は同3.8%増にとどまった。ほかの小売業と比べれば伸びが続いているものの、成長が鈍化していることは間違いない。

新型コロナの5類移行や物価高を背景に驚異的に売り上げを伸ばしたドラッグストア。しかし、こうした状況がいつまでも続くわけではない。売り上げの成長が鈍化し、人件費などのコストも上昇する中、利益をいかに確保していくかが問われる局面に入りつつある。

医薬品、食品、化粧品など、商材ごとに強みを持つ企業が異なることが、この業界の特色でもある。人件費や価格をコントロールした上で、強みとする商品やサービスをどう進化させていくかが今後の課題となりそうだ。

吉田 敬市 東洋経済 記者

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よしだ けいいち / Keiichi Yoshida

1988年生まれ。テレビ局記者を経て、2024年10月入社。現在はドラッグストアや調剤薬局の業界を中心に取材。流通・小売業のほか、人口減少、環境問題、災害といったテーマにも関心をもつ。大学時代は政治学を専攻。趣味はバスケットボール。

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