「奄美大島に移住」57歳の彼が進める"趣味の終活" ウミウシに魅了されて引っ越し、"終活"の背景

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ただ、移住してからずっと同じペースで撮影できたわけではない。気分が乗らず、撮影に行かない時期もあった。ウミウシを通じて生まれた新たな人間関係や、ホームページ内の掲示板での不特定多数の人とのやりとりがストレスになったこともある。

「ウミウシに関することならと、頑張っていろいろ引き受けたこともありました。でも、考え直したんです。仕事では嫌なことがあっても折り合いをつけねばなりませんが、趣味で無理することはないと。そこで、何年か前に掲示板は閉じて、いまは撮影に専念しています」

ウミウシ 今本淳 奄美大島
リュウグウウミウシ。体長14mm(写真:今本さん提供)

2007年には今本さんの写真がプロのカメラマンの目に留まり、ウミウシ写真集『ウミウシ 不思議ないきもの』を上梓。その後も2冊、写真集を出した。

「最初の一冊が版を重ねたので、その印税を撮影機材のバージョンアップや予備機、ビデオ用撮影システムに充てることができました。総額100万円ぐらいでしょうか。水中撮影機材は高価なのでありがたかったですね。その機材を使って撮った動画がDVDとして販売もされました」

給料は下がったが、働きやすい環境

先に紹介したように、今本さんは奄美医療生協のSEとして働いている。病院や診療所、老健施設など組合の9事業所にある300台以上のパソコン、プリンターやネットワーク機器を1人で管理し、日常の修理やメンテナンスを担当している。小規模な臨床検査システムや診療支援システムの開発に取り組んだこともあった。

勤務時間は平日の8時半〜17時と、月2回の土曜日の8時半〜12時半。平日は「17時1分にタイムカードを押して速攻帰る」が、システムトラブルやシステム導入のときには残業や休日出勤もいとわない。

「僕が残業するときは、本当に必要なときです。そうした例外を除けば、基本的に残業はなく、有休も取れます。定時に帰って文句を言われることはありません。給料は関東の会社にいるときより大幅に下がりましたが、本当にいい職場だと思っています」

次ページ趣味の「終活」を始める
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事