スマホで予定管理の若者が手帳を使う意外な理由 なぜ今「日付がない手帳」が売れているのか?

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まず「日付が書いていない」ので、自分で一から手帳を作成していく必要がある。

時間の目盛りは入っているので、もちろんスケジュール管理にも使えるが、ToDoリストを書いて目標達成の励みにしたり、絵を描いたり写真を貼ったりしてイベントを振り返るなど、各自がカスタマイズできる仕様になっている。

渋谷ロフトでは、「日付なし手帳」のブースを昨年の1.5倍に拡大した。

「かつての手帳は『未来』の予定を書くものでしたが、日付のない手帳は自分だけの『過去』や目標について書くことが多いようです。

しかも書きたい日だけ書いたり、年始や年度にとらわれず途中から書き始めるなど、手帳にも“自由”を求める人が多くなっている印象です」(滝田さん)

SNSでも「日付なしの手帳」を使っている若者の投稿はよく見かけるようになった。スマホでスケジュール管理をするようになったことで手帳から離れたが、またライフログ手帳に戻ってきたという書き込みも多い。

特に、「推し活」をするようになってから手帳を使い始めたという投稿を多く見かけるが、前出の滝田さんもこう話す。

「お客さまの中には、あるアイドルの写真を貼ったり、日記として残したいという目的で手帳をお使いになる方もいらっしゃいます。

大きいノートではなく、あえて小型の手帳に書き残すことで、常に持ち歩けて、過去のライブなどをいつでも振り返ることができるという利点もあるようです」

“ハイパー文武両道”を志す若者が増加

こうした手帳の使い方の変化について、働き方評論家で千葉商科大准教授の常見陽平氏はこう分析する。

「スマホでスケジュールを管理すれば、必要な時に通知が来るように設定できるので、手書きの手帳でスケジュールを管理する若手の社会人は減っていました。

しかし、近年の学生や、社会人は就活以外でも自己分析をするようになったり、転職が当たり前の時代になったりして、以前に比べて自分と向き合う時間が多い印象です。

コロナ禍になり、外に出られなくなったことで、その傾向はより加速しました。

その中でも特に、コロナ禍で大学生だった、今の社会人1~3年目の若手は、未来の予定を立てるより、現在や過去の自分に向き合う機会がとても多かったはずです。

そうした経緯もあり、過去の自分を振り返る手段として、手帳を使う若者が増えたのだと思います」

さらに、常見氏は若手社会人が余暇時間を重視していることも要因の一つではないかと話す。

「今の若手は、“ハイパー文武両道”を志している人が多い。仕事はもちろんですが、ワークライフバランスを重視し、余暇時間も全力で楽しみたいという傾向にあります。

一日の中で『絶対に守りたい時間』をつくっていて、その時間を“推し活”などの趣味にあてる人もいれば、勉強や筋トレなどに励む人もいます。

書くことによって頭の中を整理して、仕事とプライベートの区別をつけ、趣味でも高みを目指している人が多いのかもしれません」。

Z世代の端くれである記者も2025年からは手帳を買って「ライフログ生活」を楽しんでみたい。

(AERA dot.編集部・小山歩)

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