「世渡り上手な人」が大きな結果を出せないワケ 「干された時」こそ相手の懐に入るチャンス

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

僕が見城さんによるこれらの言葉を聞いたのは34歳の頃だった。雷に打たれるような衝撃を受け、ものすごく自分が恥ずかしかった。なんとなく誤魔化し誤魔化しやってきて、「世渡り上手」みたいな嫌らしさを見透かされ、指摘されたからだ。

それからは、僕はなるべく人に誠実に、正直に、そしてなるべく素直に接するように心がけている。

もちろん失敗して、元のキツネみたいな狡い自分になることもある。それでも、少しでも正面を外さずに、突破してやってきたつもりだ。

仕事から干された

正面から突破すると、側面からの突破より自分へのダメージが大きい。ガードも無意味だ。でも、突破したあとの結果はまるで違うし、清々しさもまったく異なる。僕が36歳で東京から福島の病院に移った時、人生史上もっとも厳しい目にあった。

僕は仕事から干されたのだ。

外科医にとって、最高にして唯一の報酬とは何か知っているかな。お金ではない。時間でもない。お酒……は好きだけど、最高ではない。

正解は「手術をすること」なのだ。

おかしいと思うかもしれないけど、これは真実だ。外科医はみんな手術がしたい、そして自分の手で患者さんを治したいから外科医になったし、外科医を続けているし、辞めないのである。

僕は福島の病院に移ってから3カ月で1件しか手術をさせてもらえなかった。

僕の当時の歳だと、僕が患者さんの主治医になって、そうするとイコール執刀医になる。

だから、週に一度やっている外来に手術が必要になる大腸がんの患者さんが割り振られたら、それは手術をすることになる。要は、そういう患者さんを一人も振ってもらえなかったということだ。

次ページ直談判でどうなったか?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事