好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に鼻茸(はなたけ:鼻の粘膜が炎症を起こすことによって放出された物質が、粘膜の腫れを促す細胞を活性化してできる、やわらかい塊)がたくさんできたり、手術をしても再発しやすかったりする難治性の慢性副鼻腔炎。治療法が確立されていないため、“国の指定難病”となっている。
実は誠さんの鼻の異常は、診断される10年ほど前からあったという。
「結婚して10年ほど経ってからでしょうか。あるときから鼻水が止まらなくなりました。気がついたら始終、ティッシュで鼻をかむようになったのです」(直美さん)
「鼻荒れ」予防に高級ティッシュ
やがて「鼻が荒れちゃう」と、かみ心地のいい高級ティッシュを使うように。ただ、耳鼻科を受診するようすすめても、断固として行かなかった。
実は誠さんは昔から大の医者嫌いなのだ。
「風邪ぐらいでは基本、医者にかかりません。結婚して20年ほどですが、医者にかかったのは帯状疱疹のときくらいだったと思います」と直美さん。帯状疱疹のときは、目の周りにひどい水ぶくれができた。
そのときは「お岩さんのようになってしまい、このままでは会社に行けないということで受診したのです」と言う。
会社の健康診断ではピロリ菌に引っかかり、除菌をすすめられているが、放置している。50代以降の男性にすすめられている「前立腺がん検査」も受けていない。
「病院嫌いの理由をはっきり聞いたことはありませんが、怖いのと、面倒なのと両方あると思います。だから、ひどくなるまで、受診を我慢するのでしょう」(直美さん)
我慢の結果、誠さんの鼻の状態は悪化した。