マクロン大統領が前倒しの国民議会(下院)選挙を決断し、欧州連合(EU)の中核国であるフランスで極右政権の誕生が不安視されるなか、同国の国債利回りが上昇し、ユーロ圏内の安全資産とされるドイツ国債との利回り格差(スプレッド)が欧州債務危機時以来の水準に広がっている。
フランスの財政状況は脆弱だ。基礎的財政収支(プライマリー・バランス)は2008年以来、黒字に転換しておらず、2023年の財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は5.5%と、昨年秋時点の政府計画の4.9%を上回った。公的債務残高の対GDP比率は110%を超え、ユーロ圏内でギリシャ、イタリアに次ぐ高さだ。

大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は今年5月末、財政再建が計画通りに進まず、政府債務の膨張が続くことを理由に、フランスの国債格付けを「AA」から「AAマイナス」に引き下げた。
EUがフランスなど7カ国の財政赤字に”NO”
2022年の前回の国民議会選挙で、マクロン大統領の支持会派は議会の過半数を失った。マクロン大統領の2期目の議会運営は混迷を極め、野党の協力が得られない法案では、議会採決を迂回する憲法上の特例措置(憲法49条3項)などを駆使し、どうにか法律や予算を通してきた。
大統領や政権の支持率が低迷するなか、国民にさらなる痛みを伴う財政緊縮措置に踏み切ることができなかったことも、財政赤字の膨張を招いた。
EUは過去数年、度重なる危機対応で財政出動が必要となった状況に鑑み、加盟国に対する財政規律の適用を全面的に停止してきた。危機収束を受け、今年から規律の適用が再開される。
EUの行政執行機関である欧州委員会は19日、各国政府が提出した2024年度の予算案や2023年の財政赤字の実績値などを精査した結果、フランスやイタリアなどEUの7カ国が財政規律に抵触する恐れがあるとして、過剰赤字手続き(EDP)を開始することをEU理事会に勧告した。必要な是正措置をとらない場合、罰則金が科せられる。
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