「虚偽だった性被害告白騒動」草津町長のあれから "加害者"から"被害者"となった4年半の軌跡
私は控訴するつもりはなかったのですが、新井氏側が控訴したので、相手が何を不服としているかを把握して、その内容によっては付帯控訴も辞さないつもりです。
取材を受けないまま暴露本発売「はじめは冗談かと」
ーー新井氏が黒岩町長と肉体関係を持ったという内容が書かれた電子書籍が2019年11月に発売されたことが騒動の発端となりました。
2019年11月15日に町民から『何か変なものが出た』と聞いて、本の内容を初めて知りました。ちょうどその日は議会があった日だったので、議員たちが集まってみんなと食事していたのですが、ある議員が電子書籍の内容を読んでくれたんです。
それで、新井氏が町長室で私と肉体関係を持ったと書いてある文章を見て、『ん、何の話?』って思うじゃないですか。はじめは冗談かと思いました。ただ、私は本能的にこれは大変なことになると思って、その場ですぐに警察に電話して被害届を出したいと言いました。
そして、私が人とちょっと違ったのは、逆にマスコミに連絡したことです。事前に言っとくけど全くの嘘だと。嘘だからこそ通報したんだとマスコミに言いました。
その2カ月前の2019年9月19日にライターの飯塚玲児氏が取材に来ました。しかし、この時は時間湯(草津温泉で伝統的に続く入浴法)に関する取材で、新井氏に関する取材ではなかった。その時点で新井氏の告白を受けていながら、飯塚氏は私に何の取材もしなかったんです。
インタビューの時に『実は新井さんからこういう話を聞いてますけど、本当ですか?』って聞いてきたら反論できた。
ーー電子書籍の発行から約5年前、2015年1月の町長室での出来事についての告発でした。
2015年1月8日の午前10時ごろに被害を受けた、というのが新井氏側の主張でした。5年経って突然犯されたと言われ、最初は何の話なのか覚えていませんでした。よく考えたら、たしかに新井氏がこの頃、選挙のお願いに来たことがあったなと思い出しました。
出版の翌月の議会で町長室内を撮影したパネルを持ち出して、どこで私と性交渉をしたのですかと新井氏に聞きました。何で議会で取り上げたかというと、新井氏と私は政治家です。政治家という公人が公務時間に町長室で肉体関係を持ったとすれば、私は即刻クビですと言いました。事実なら私は辞めると。だから議会でこれを協議したんです。