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農耕生活が生み出した「男女不平等」という罠 スコット『反穀物の人類史』で常識を疑う③

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  • 安川 新一郎 東京大学未来ビジョン研究センター特任研究員、グレートジャーニー合同会社代表

INDEX

ジェームズ・C・スコット『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』立木 勝 訳/みすず書房

穀物栽培により、人類は土地に縛られ、国家に管理されるようになった。そしてもう1つ、深刻な問題が起こった。男性優位社会の誕生だ。

農耕生活における役割分担と代償

狩猟採集の時代にも、狩猟は男性、採集は主に女性といった大まかな役割分担はあったと思われるが、その関係は対等で平等なものだった。人類学者、ヘレン・フィッシャーは、使用に相当の腕力を必要とする農具の鋤(すき)が発明されたとき、生活の第1の担当者が男性に移ったとする。こうして、家(domus)の主人(dominus)として支配(dominatus)するのは男性となった。

女性に求められたのが、労働力確保のための頻繁な出産だ。狩猟採集民は、乳幼児を多く抱えての移動生活が難しいことから、出産間隔を最低4年ほど空けた。激しい運動をし赤身肉を食す生活スタイルにより、排卵は不定期で、妊娠可能期間も短かった。それが穀物食になったことで、初潮が早まり排卵が促進され、生殖寿命が延びた。離乳して軟食になるのを早めることも可能になった。

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