沢田研二「"オワコン"と言われてから復活」の凄み 75歳のジュリーはなぜ再ブレイクできたのか

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70歳から5年をかけてリベンジを成功させ、今なおステージを駆けまわり歌う沢田の活躍は、決して老後が「余生」でないことを見せつけられる。余りの生活なんてとんでもない。楽しんで、自由に人生の舵取りができる新たな生活、「新生」だ。

“姿”が変わってもファンに愛されている

幾度となく起こる沢田研二の再ブームが、その才能と努力、そして彼を理解する長年のファンの存在によるものであることは、前述した通りだ。ここで少し、それを確信したエピソードを紹介したい。

私が沢田研二の記事を初めて書いたのは、2017年。グリーンの衣装を着た彼の画像が偶然ネットであがってきたのだ。1980年代の「麗しい」と形容された彼とはまた違い、昔よりも恰幅がよくなり、雄々しい感じがしてとてもすてきだったのだ。

その記事は想像以上の反響があったが、一番印象的だったのが、「現在闘病中で、ジュリーのコンサートに行くのを目標に治療を頑張っている」というコメントだった。文面には何度も「ジュリーを褒めてくれてありがとう」と記してあった。

ああ、まだ沢田研二は、これほどまでに愛されているのか、と本当に感動した。そして、なんとスターの存在は力強いことか、とも思った。ファンの気力体力につながる、それどころか、命を救うこともあるかもしれない。当時は今ほど「推し活」という言葉の認知度が高くなかったが、まさにアイドルは心の名医なのだと、このメールを読んで確信した。

今も沢田研二のライブに通い続けることを生きる目的としている人は大勢いる。そして、沢田研二自身も、ぎっしり埋め尽くされた(ここが重要である)客席で彼の歌に耳を傾ける大勢のファンの熱気を吸い込み、スターの輝きを発光するのだろう。

知り合いのファンの方が、「MCで『みんな、僕と目が合ったと思っているでしょう。でも僕は全然見てませんから』とジュリーが言うのよ。本当に一言多いんだから」と笑いながら教えてくれた。ユーモアたっぷりなトークもまた、ライブの醍醐味だろう。

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