「梅雨の時期から、カラ咳が長引くと、夏型過敏性肺炎として、アレルギーを抑える薬が使われるのが一般的です。しかし、仮にカビのアレルギー症状であっても、症状が繰り返されることで肺機能はダメージを受け続けて壊れていきます。カビは、毒素や酵素など、さまざまな物質を作る能力を持っています。カビが死んでも、毒素や酵素がいろいろな炎症を起こすことがあるのです。そのためにも、特に梅雨の時期から夏場にかけて、カビが部屋の中で繁殖しないように心掛けていただきたいと思います」(同)
病気予防はこまめな掃除と換気を中心に
カビによる肺などの病気にならないための予防法について、亀井教授が以下の5つのポイントを伝授する。
① 雨の時期にカビが繁殖しないようにこまめに掃除をする
②特に水回りは、換気するなどして乾燥に心掛けるほか、換気扇・扇風機を利用して空気がよどまないようにする。風呂場の天井のカビは、スモークタイプのくん煙剤を活用するのも一考
③エアコン内にはカビが繁殖しやすいため、マスクを着用し、機器の取り扱い説明書にそった清掃を行う
④仕事などで外出し、締め切ったままの部屋は、帰宅後に窓を開けるなど空気の入れ替えを行う
⑤免疫系の働きを維持するため、健康管理に留意する
「家庭内で一番多いのは黒カビですが、木造住宅で高温と高湿度などの環境では、アスペルギルスが第1位に入れ替わることがあります。ただし、お部屋のカビをゼロにすることはできません。カビは太古の時代から人間と共存してきましたから、神経質になりすぎる必要はないでしょう。なるべく排除するように心掛けていただければと思います」(同)
アスペルギルス症などの身近なカビで発症する病気は、健康な人なら、日頃のこまめな清掃と換気で予防が可能という。
最後に、海外のカビ事情にも触れておこう。7月以降海外への渡航が増えそうだが、実は海外には凶暴なカビがいる。仕事や留学、旅行などで渡航するときには、注意が必要だ。
「例えば米国のカリフォルニア以南の乾燥地域では、コクシジオイデスという感染力の強いカビが、これから秋にかけて空気中を舞うようになります。健康な人も感染しやすいので、渡航先の感染症情報をチェックし、マスクを着用するなど予防に努めましょう。お部屋のカビ退治も重要ですが、海外には、健康な人でも重症化しやすいカビがいることも覚えておいてください」と亀井教授は話す。
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