これに対し、最大野党の国民党は、「戦争を遠ざけ、安全に暮らし楽しく働こう」とのスローガンを掲げ、民進党からの政権交代を訴えている。国民党は2000年代後半以来、かつての内戦の敵であった共産党との和解を推し進め、協力関係を強化してきた。そのため、民進党政権こそが中国大陸との関係を緊張させ、台湾に危険をもたらしているのだと強調することで、政権奪還のチャンスをうかがっているのである。
「戦争を遠ざける」は国民党に両刃の剣?
実際、台湾の人びとは共産党政権との戦争を望んでいるわけではないので、この主張にも一定のアピール力があると考えられる。ただし、「戦争を遠ざけよう」というスローガンの有効性は共産党政権の圧力が強ければ強いほど高まることになる。その場合、民進党政権の主張の説得力も同時に増すことになるので、国民党としては扱いの難しい戦術であるようにも見えた。
昨年の前半頃には、共産党政権が台湾を中国大陸と統一するために武力侵攻を発動した場合、アメリカは本当に助けてくれるのかを疑う「疑米論」も台湾メディアで盛んに取り上げられた。これは国民党の親共産党路線を正当化するための世界観に過ぎないようにも見えるが、台湾社会にそれを受け入れる素地があることも無視するべきではないだろう。
アメリカや日本は1950~1960年代にかけ、国際的な冷戦構造の下、台湾で抑圧的な政治を行っていた蔣介石率いる国民党政権を支持してきた。民進党はこの国民党政権への抵抗運動から生まれた政党である。
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