──三十年来、生殖補助医療を取材してきました。
きっかけになったのが、1986年に米国ニュージャージー州で起きた「ベビーM事件」。代理出産をした母親が生まれた子どもを依頼者夫婦に引き渡さず、3カ月にわたって逃走劇を繰り広げたというものだ。私はこの裁判の傍聴に足しげく通ったのだが、裁判官が最後に言った「世の中にはお金では買えないものがある」という言葉が実に印象的だった。
生殖補助医療がほかの医療と異なるのは、新しい命がこの世に生まれてくるということ。生まれた子どもが周囲から特異な目で見られるなど、社会的な問題が生じる。彼らが成長の過程でどのように感じ、どんな状態にあるのか、世界中で話を聞いてきた。
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