相手を理解するように努める
日々の具体的な業務の中でメンバーにどのように働きかけていくことが有効なのか。その前提として、人を動かすために欠かせない3つの原則をお話しします。
そこに、ひとりの男性が子供たちを連れて車両に乗り込んできた。すぐに子供たちがうるさく騒ぎ出し、それまでの静かな雰囲気は一瞬にして壊されてしまった。
しかし、その男性は私の隣に座って、目を閉じたまま、周りの状況に全く気がつかない様子だった。(中略)
私は耐えられなくなり、彼に向かって非常に控えめに、「あなたのお子さんたちが皆さんの迷惑になっているようですよ。もう少しおとなしくさせることはできないのでしょうか」と言ってみた。
彼は目を開けると、まるで初めてその様子に気がついたかのような表情になり、柔らかい、もの静かな声でこう返事した。
「ああ、ああ、本当にそうですね。どうにかしないと……。たった今、病院から出て来たところなんです。一時間ほど前に妻が……、あの子たちの母親が亡くなったものですから、いったいどうすればいいのか……。子供たちも混乱しているみたいで……」
人を動かす原則の1つめは、相手を理解するように努めることです。
男性の言葉を聞くまで、乗客たちには親子が「騒いでいる子どもと甘やかしている父親」としか見えていなかったでしょう。それが親子の事情を理解したことで、目の前の状況がまったく違うものになりました。
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